[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。
10.君が悪いんだもん
兄上が洗濯をする回数が以前よりも減っていた。 何故か、そのことを喜ばしく思う。 それを望美に話したら、彼女は不思議そうな顔をしていた。 私にも、わからない。でも・・・
衝立の後ろで繕い物をしていた朔は話し声を聞いた。
「今日は良いお天気ですね」 「そうだね~。いい洗濯日和だよ~」
望美と朔の兄である景時だった。 庭を散策している最中のようだ。 景時は歩みを止めて、空を仰いだ。 陽の光のまぶしさに、手で目に日よけをつくる。
「空気も湿り気がないし、風も吹いてるしきっとよく乾くね~」
嬉しそうな景時を見て、望美もつられて微笑んだ。
「景時さん、まえに比べて洗濯することが 少なくなったんですか?」
景時は目を丸くした。
「そんなことないと思うけど・・・」 「朔が言ってました」
景時はその名を聞いて、照れくさそうに笑った。
「朔が言うなら、そうなんだろうな~」 「なんでもお見通しですね」 「そうなんだよね~」
二人が笑うと風が吹き抜けた。望美が暴れる髪の毛を手で 押さえつけた。
「洗濯が少なくなったのは、きっと・・・」
続いたはずの言葉は、風に吹かれて望美には聞こえなかった。
風が収まるのを待って望美が問う。
「何ですか?景時さん」
その声に微かに首を振って、優しく笑う
「何でもないよ」
衝立の後ろで、朔は思わず頬を手で隠した。 兄の声は朔には聞こえた。
きっと、君が悪いんだよ。
景時さんは歌のイメージが強すぎて、洗濯=何かを 洗い流してるって解釈してしまっています。
書いていて会話文が多いと思うんですが、それが ますます浮き彫りになってます。