光が見えているならどこへあがけばいいかわかる。だけど真っ暗闇になったらどうすればいい?
ごめんね。
今日、これで何度目だろうか。気がつくと胸元に手をやっている自分。その度に胸に去来するのは喪失感と、九郎たちの敵に回ったのだという現実味のない実感。仲間たちに銃口を向けたこと。九郎の悲痛な声。驚きに目を見開いて、泣き出しそうになっていた朔の表情。それから・・・・・・。
「頼朝さんの命令があるんじゃないですか」
少女に問いかけられたことを思い出す。
―お見通しだったっていうのかな、これも。
自分を好きだと言ってくれた少女。自分のことを気にかけるのは優しさではなく、好意だと。 けれど世界は止まらなかった。
―オレは君の八葉じゃなくなった。宝玉が資格なしと断定したんだ。でも君はオレが悩み苦しんでいることを知っていた。つらそうだって心配してくれた。 だから宝玉がオレから失われたとき、これも君の優しさなんじゃないかって思ったんだよ。 そう伝えたら君はなんて言うのかな。
あのとき言わなかった言葉もきっと二度と伝えられない。
―オレは八葉でなく君の敵になった。それでもこうして君のことを考えているオレは。 君のことを想うと心が温かいと思うオレは。 なんて救い難い。
今宵の月は雲に隠れて姿を見せない。 月に懺悔することすらさせてはもらえない。 祈りのようにひそやかに、けれど確かに紡ごう。 届けることがかなわなかった想いと、自身を苛む罪悪感に。
―ごめんね。