1.あんまりそういうこと言うと

「熊野はいいところだろ?」
そう訊けば、返ってくるのは満面の笑みと勢いの良い返事。 正直、とても嬉しい。
「空も、景色も、空気も、とても気持ちがいいね」 「気に入ってもらえて光栄だね、姫君。何なら熊野に来るかい?
歓迎するよ。何より・・・」 「オレがいる」
言おうとした言葉を望美に言われた。望美は笑った。
「お見通しみたいだね」 「前にも、言われたことあるからね」
少し照れくさそうに呟く。その表情を見れば、望美の気持ちは 一目瞭然。
「へぇ。先を越されてたか・・・」
動揺を押し隠して、何とか一言を絞りだした。
「姫君の口から他の男のことを聞くことになるとはね・・・」
望美は瞳を瞬いてから、慌てたように顔の前で手を振った。
「ち、違うよ!その人は・・・」 「あんまりそういうこと言うと」
お互いの鼻先が触れそうになるくらい近づいて、 望美の瞳を見つめた。 望美は呆気にとられた顔をしていたが、状況を理解すると 後ろに跳び退った。顔が真っ赤だった。 期待通りの反応に、無意識に笑みが浮かんだ。
「次は黙ってもらわないといけなくなるからさ」
望美が真っ赤に染まった顔で俯いた。


ヒノエくんのことを何も知らずに何回も時空を越えてました。
こんな感じのイベントありましたよね?熊野においで〜みたいなやつ。
台詞はうろ覚えなんですけど。